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【ネットワーク分析を使ってNBAチームのアシストネットワークを確認しよう③】ジニ係数を使って2022-23シーズンNBAチャンピオンのデンバー・ナゲッツにおけるアシストの偏りを確認する

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今回は、前回前々回の記事に引き続き、2022-23シーズンにおけるデンバー・ナゲッツのアシストに焦点あて、ジニ係数を用いてチーム内のアシストに関する偏りに注目していきたいと思います。(※本記事は前回と前々回の記事からの続きとなります。まだ前回と前々回の記事をご覧になられていない方は、よろしければ下記よりご確認ください。)

データは、引き続き2022-23シーズンのPbP. BDBとPbox(過去記事参照)を使用しています。

また、ジニ係数に関しては過去記事で一度扱っていますので、よろしければ下記の記事をご参考ください。

まずは、各プレイヤーが出すアシストの相手先に関して、その偏りの度合いをジニ係数を用いて示していきたいと思います。

なお、分析の対象とするプレイヤーは前回と前々回に引き続き、アシストネットワークの中心となる6プレイヤー(ニコラ・ヨキッチ、アーロン・ゴードン、ブルース・ブラウン、ジャマール・マレー、K.コールドウェル・ポープ、マイケル・ポーターJr.)としています。

※データ分析を実践する際に参考にしている書籍『Basketball Data Science: With Applications in R』の紹介記事も書きましたので、よろしければご確認ください。

デンバー・ナゲッツのアシストに関するジニ係数<2022-23シーズン>

アシストを出す相手先の偏りの度合い<偏りが最小なのはヨキッチ>

アシストを出す相手先の偏りを表すプレイヤーごとのジニ係数は、下記のとおりです。

また、プレイヤーごとのアシスト数の具体的な本数を示したクロス集計表は、下記のとおりです。

※クロス集計表の見方について:集計表の行にはアシストを出した側のプレイヤー、集計表の列にはアシストを受けた側のプレイヤーが記載されています。(例えば、ゴードンはマレーに31本のアシストを出しており、ヨキッチはブルース・ブラウンから63本のアシストを受けていることになります。)

上記のジニ係数を確認すると、アシストを出す相手先の偏りが6プレイヤーの中で最も大きいのは、ジニ係数56.56%を示すマレーであることが分かります。

クロス集計表で具体的な数値を確認すると、マレーからヨキッチへのアシスト数は225本であり、他の4プレイヤーへのアシスト数と比較して極端に多いことが読み取れます。

一方、ヨキッチに関しては、ジニ係数が6プレイヤーの中で最も小さい29.61%を示していることから、アシストを出す相手先の偏りが最も小さいプレイヤーであることが分かります。

総数762本のアシスト数はチーム内でトップであると同時に、最もバランス良くチームメイトへアシストを供給しているプレイヤーであることが読み取れます。

なお、上記のジニ係数を出力するためのコマンドは下記のとおりです。(前回前々回の記事で扱ったコマンドをすべて入力していることが前提となっています。)

> selden <- which(dataden$MIN>1700) #which()を使ってdatadenのMIN欄が1700超のデータを取り出しseldenへ格納
> tabden <- TABden[selden, selden] #TABdenの行と列のうちseldenに該当するものを抽出しtabdenへ格納
> no.pl <- nrow(tabden) #nrow()でtabdenの行数をカウントし、no.plに格納
> pR <- pM <- vector(no.pl, mode="list")
> GiniM <- array(NA, no.pl)
> GiniR <- array(NA, no.pl)
> for (pl in 1:no.pl){
+      ineqplM <- inequality(tabden[pl,], npl=no.pl)
+      GiniM[pl] <- ineqplM$Gini
+      ineqplR <- inequality(tabden[,pl], npl=no.pl)
+      GiniR[pl] <- ineqplR$Gini
+      title <- rownames(tabden)[pl]
+      pM[[pl]] <- plot(ineqplM, title=title)
+      pR[[pl]] <- plot(ineqplR, title=title)
+      }
> library(gridExtra) #パッケージgridExtraの読み込み
> grid.arrange(grobs=pM, nrow=2) # grid.arrange()でチャートを2行で表示

次は、アシストを受けるプレイヤー側から見た、アシストをもらう相手の偏りに関するジニ係数を算出していきます。

アシストをもらう相手の偏りの度合い<偏りが最小なのはマイケル・ポーターJr.>

アシストをもらう相手の偏りを表すジニ係数を、プレイヤーごとに下記に示しました。

チーム内におけるヨキッチのアシストが多いためか、全体的にジニ係数が高くなっていることが分かります。

6プレイヤーの中で最もジニ係数が高いのはゴードンの69.44%であり、アシストをもらう相手の偏りが最も大きいことが分かります。

先に示した実際のアシスト数を確認すると、ゴードンがヨキッチから受けたアシスト数は193本となっており、他の4プレイヤーから受けたアシスト数を大きく引き離しています。

次にジニ係数が高いのはマレーの67%であり、マレーがヨキッチから受けたアシスト153本についても、他の4プレイヤーから受けたアシスト数を大きく上回っていることが分かります。

一方、マイケル・ポーターJr.に関しては、ジニ係数が最も低い53.91%を示していることから、アシストをもらう相手の偏りが6プレイヤーの中で最も小さいと判断できます。

実際の数値を確認すると、マイケル・ポーターJr.はヨキッチとマレーからそれぞれ158本と81本のアシストを受けており、アシストをもらうパターンが2通りあることが偏りを小さくしている要因であると考えられます。

なお、上記のジニ係数を出力するためのコマンドは下記のとおりです。

> grid.arrange(grobs=pR, nrow=2)

続いて、ジニ係数とアシスト数を用いた散布図を示していきます。

ジニ係数とアシスト数を用いた散布図<アシスト面でのヨキッチの存在感が強い>

下記が、先に示した2つのジニ係数とアシスト数(被アシスト数を含む)を用いた散布図となります。

横軸はアシストを出す相手先の偏りに関するジニ係数、縦軸はアシストをもらう相手の偏りに関するジニ係数の数値にそれぞれ対応しています。

プロットの色は、アシストを受けた本数(被アシスト数)と対応しており、被アシスト数が多ければ赤色で表示され、被アシスト数が少なければ紫色で表示されます。

プロットのサイズは、アシストを出した本数(アシスト数)と対応しており、アシスト数が多ければサイズが大きくなり、アシスト数が少なければサイズが小さくなります。(※プロットのサイズは、6プレイヤーのアシスト数の最小本数を0、最大本数を100に置き換えた数値でそれぞれ表示されています。)

上記の散布図を確認すると、ヨキッチに関してはジニ係数が両方とも6プレイヤーの中で最も低く、アシスト数と被アシスト数においては最多本数となっていることが分かります。(アシスト数と被アシスト数の実際の数値を確認すると、それぞれ762本と469本となります。)

上記散布図からも、ヨキッチがナゲッツ内おいてアシスト面で重要な役割を担っていることが読み取れます。

ジニ係数が両方とも高いプレイヤーはマレーとゴードンが該当し、マレーのほうはアシスト数が454本と比較的多く、ゴードンのほうは被アシスト数が比較的多い322本となっています。

ブルース・ブラウンとK.コールドウェル・ポープに関しては、6プレイヤーの中ではジニ係数の水準が中程度であることが読み取れ、それぞれの被アシスト数はブルース・ブラウンが193本、K.コールドウェル・ポープは289本となっています。

また、マイケル・ポーターJr.のアシスト数は77本と極端に少ないですが、被アシスト数361本はヨキッチに次いで2番目の本数となっています。

なお、上記の散布図を出力するためのコマンドは下記のとおりです。

> XXden <- data.frame(Xden[selden,], GiniM, GiniR) #data.frame()でXdenの行がseldenと一致するプレイヤーに関し2つのジニ係数を追加し、XXdenへ格納
> labs <- c("Gini Index for assists made", "Gini Index for assists received", "Assists received", "Assists made") #タイトルに使う文字列をlabsへ格納
> bubbleplot(XXden, id="Player", x="GiniM", y="GiniR", col="FGM_AST", size="AST", labels=labs, text.size=4) #バブルチャートの出力

おわりに

今回は、前回前々回の記事に引き続き、2022-23シーズンにおけるナゲッツのアシストに焦点をあて、チーム内におけるアシストの偏りについて確認していきました。

プレイヤーに関して、アシストを出す相手先の偏りやアシストをもらう相手の偏りなどを調べることで、チーム内におけるアシストの中心的なプレイヤーを改めて把握することができました。

アシスト数が多いプレイヤーに注目が行きがちですが、バスケを観戦する際には、被アシスト数の多いプレイヤーのオフボール時の動きに注目してみても面白いかと思います。

なお、本記事は、記事の最後に紹介している書籍を参考にして作成しています。

それでは、今回のトラッシュトークは以上です。

【参考書籍】

Paola Zuccolotto and Marica Manisera (2020), Basketball Data Science – with Applications in R. Chapman and Hall/CRC. ISBN 9781138600799.
※本書籍の紹介記事を書いていますので、よろしければご参考ください。

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