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ルディ・ゴベアのオン/オフコートで見る対戦チームのオフェンスの変化【NBA2023-24シーズン最優秀守備選手賞に選出されたルディ・ゴベアに焦点をあてる】

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 2024年5月8日(現地時間7日)、ミネソタ・ティンバーウルブズのルディ・ゴベアが2023-24シーズンの最優秀守備選手賞に選出されたことが発表されました。ルディ・ゴベアが同賞を受賞するのは今回で4度目であり、この受賞数はディケンベ・ムトンボとベン・ウォレスに並び歴代最多タイとなっています。

 そこで今回は、NBA 2023-24レギュラー・シーズンのデータを使い、最優秀守備選手賞に選出されたルディ・ゴベアに焦点をあてて分析を進めていきたいと思います。

 データに関しては、Pbox(過去記事参照)、PbP. BDB(過去記事参照)とあわせてDPbox2324(NBA公式ウェブサイトから収集したディフェンス関連のスタッツ)を使用しています。また、分析は統計ソフトRにより実行していきます。

 それでは、NBA 2023-24レギュラー・シーズンの各種スタッツを使って作成した散布図から示していきます。

※データ分析を実践する際に参考にしている書籍『Basketball Data Science: With Applications in R』の紹介記事も書いていますので、よろしければご確認ください。

各種スタッツを使った散布図<NBA 2023-24シーズンの最優秀守備選手賞のルディ・ゴベアに注目>

以降に示す各種グラフを出力するための統計ソフトRのコマンドは、後述を参照ください。

ディフェンスリバウンド数とブロック数の散布図

 まずは、基本スタッツを使って作成した散布図を示していきます。下記に示すのは、1分(試合出場時間1分、以下同じ。)あたりのディフェンスリバウンド数(DREB/MIN)と1分あたりのブロック数(BLK/MIN)を使った散布図となります。

※ DREB/MINの平均値は約0.14本、BLK/MINの平均値は約0.0206本

 上記の散布図では、横軸に1分あたりのディフェンスリバウンド数、縦軸に1分あたりのブロック数をとっています。また、プレイヤーは試合出場時間1800MIN以上のプレイヤーを対象とし、各プレイヤー名はポジション別に番号を振り、色分けをしています。ガード(G)は1で青色、ガード=フォワード(F-G、G-F)は2で赤色、フォワード(F)は3で緑色、フォワード=センター(C-F、F-C)は4で黄色、センター(C)は5で黒色により表記しています。(※F-G、G-F、C-F、F-Cで表記されているポジションの正確な分類がよく分からなかったため、便宜的にそれぞれ2と4で分類をしています。)

 上記の散布図内の各エリアには、下記の特徴を持つプレイヤー(あくまでも試合出場時間が1800MIN以上のプレイヤーのなかでの特徴。以下同じ。)が属することになります。

  • 左下エリア:ディフェンスリバウンド数、ブロック数がともに少ない
  • 右下エリア:ディフェンスリバウンド数は多いが、ブロック数は少ない
  • 右上エリア:ディフェンスリバウンド数、ブロック数がともに多い
  • 左上エリア:ディフェンスリバウンド数は少ないが、ブロック数は多い

 当然のことながら、ポジションごとで散布図内の配置に偏りが見られます。1、2、3のポジションはディフェンスリバウンドとブロックの機会が少ないことから、多くのプレイヤーが左下に集まっています。その一方で、ディフェンスリバウンドとブロックの機会が多い4、5のポジションのプレイヤーは、比較的右側のエリアに集中しています。

 2023-24シーズンの最優秀守備選手賞に選出されたミネソタ・ティンバーウルブズのルディ・ゴベアを確認してみると、右上のエリア(ディフェンスリバウンド数、ブロック数がともに多い)に位置していることが分かります。同プレイヤーの実際のスタッツは、1分あたりのディフェンスリバウンド数が0.27本、1分あたりのブロック数が0.062本であり、ロサンゼルス・レイカーズのアンソニー・デイビスがほぼ同じスタッツ成績を残していることも読み取れます。

 その他のプレイヤーを注目すると、サンアントニオ・スパーズのビクター・ウェンバンヤマが、ブロック数で飛び抜けて高いスタッツ成績(1分あたりブロック数0.12本)を残していることが分かります。また、サクラメント・キングスのドマンタス・サボニスは、ディフェンスリバウンド数の水準に対して相対的にブロック数が少なく、その反対にミルウォーキー・バックスのブルック・ロペスは、ディフェンスリバウンド数の水準に対して相対的にブロック数が多くなっていることも読み取れます。

被シュート試投数と被フィールドゴール成功率の散布図

 続いて、プレイヤーがディフェンスをしている時の対戦プレイヤーのパフォーマンスを示すスタッツを使って散布図を作成します。下記に示すのは、プレイヤーのディフェンス時の1分あたりの被シュート試投数(DFGA/MIN)と被フィールドゴール成功率(DFGp)を使用した散布図となります。


※ DFGA/MINの平均値は約0.40本、DFGpの平均値は約47.8%

 上記の散布図では、横軸に1分あたりの被シュート試投数、縦軸に被フィールドゴール成功率をとっており、散布図内の各エリアには、下記の特徴を持つプレイヤーが属することになります。

  • 左下エリア:被シュート試投数が少なく、被フィールドゴール成功率が低い
  • 右下エリア:被シュート試投数が多く、被フィールドゴール成功率が低い
  • 右上エリア:被シュート試投数が多く、被フィールドゴール成功率が高い
  • 左上エリア:被シュート試投数が少なく、被フィールドゴール成功率が高い

 こちらも当然のことながら、ポジションごとで散布図内の配置に偏りが見られます。リングに近い場所でプレーする機会が多い4、5のポジションのプレイヤーは、比較的右側のエリアに位置する傾向が読み取れます。一方で、比較的リングから離れた場所でディフェンスをする機会が多いと思われる1、2、3のポジションのプレイヤーは、左側のエリアに集中しています。

 なお、プレイヤーのディフェンス時の被シュート試投数(DFGA)に関しては、その数値の多寡でディフェンス能力の良し悪しを評価することは難しいと思われます。その理由としては、そのプレイヤーのディフェンスのスタイルとして、相手にシュートを打たれた上でシュートコンテストやブロックを試みるのか、そもそも相手にシュートまで持っていかせないディフェンスをするのかでその数値は変化することが考えられるからです。また、ディフェンスした相手がたまたま積極的にシュートを打つタイプだったのか、そうではなかったのかという点も影響を与えそうです。今回はあくまでも、「そのプレイヤーのディフェンスのスタイルを予想するスタッツ」程度の認識で捉えていきます。

 話を戻しまして、ここでもルディ・ゴベアの位置を確認してみると、右下のエリア(被シュート試投数が多く、被フィールドゴール成功率が低い)に位置していることが分かります。同プレイヤーの実際のスタッツは、1分あたりの被シュート試投数が0.55本、被フィールドゴール成功率に関しては43.4%(平均値は約47.8%)であることから、対戦プレイヤーのフィールドゴール成功率を低く抑えるという点においてはリーグ屈指のプレイヤーであると言えそうです。

 その他のプレイヤーに注目すると、マイアミ・ヒートのバム・アデバヨに関しては、4と5のポジションのプレイヤーに限定すれば、被シュート試投数が少なく、被フィールドゴール成功率が低い部類のプレイヤーであることが分かります。また、デンバー・ナゲッツのK.コールドウェルポープに関しては、全体で通して見て被シュート試投数が少なく、被フィールドゴール成功率が低い部類のプレイヤーであることも読み取れます。

ルディ・ゴベアのオン/オフコートで見る対戦チームのシュートチャート、シュート分布、スコアリング期待値<NBA 2023-24シーズン>

 ここでは、ルディ・ゴベアのオン/オフコート時におけるティンバーウルブズの対戦チームのシュートチャート、シュート分布、スコアリング期待値のグラフを作成し、オン/オフで見られる各種数値の変化に注目していきます。なお、以降に示す各種グラフを出力するための統計ソフトRのコマンドは、後述を参照ください。

ルディ・ゴベアのオン/オフコートで見る対戦チームのシュートチャート

 ルディ・ゴベアのオン/オフコートに関して、それぞれの場合の対戦チームのシュートチャートを下記に示します。上図はオフコート、下図はオンコートのシュートチャートとなっています。なお、シュートチャートの見方はこちらをご確認ください。

Shot chart of MIN’s opponents based on Rudy Gobert off the court <NBA 2023 – 2024 Regular season>
Shot chart of MIN’s opponents based on Rudy Gobert on the court <NBA 2023 – 2024 Regular season>

 2つのシュートチャートについてリング回りのシュート成功率を比較してみます。ルディ・ゴベアがオフコートの時の対戦チームのシュート成功率は66%であるのに対して、オンコートの時の同成功率は60%となっており、6%の低下が見られます。先に挙げた散布図のところでは、同プレイヤーが「対戦プレイヤーのフィールドゴール成功率を低く抑える」という点に触れており、オン/オフの比較で見られる同成功率の6%の低下という変化は、この点に関して整合性のとれた内容であると思われます。

 また、その他の2Pシュートエリアに関して言えば、同プレイヤーがオフコートの時と比べてオンコートの時のほうが、対戦チームの「playlength」が全体的に長くなる傾向(シュートに持っていくまでの時間が長くなる傾向)を読み取ることが出来ます。

 なお、ここで留意して頂きたい点があります。オン/オフコートのそれぞれのグラフで見られる変化については、あくまでもオン/オフで結果的にそのような変化が現れているというだけであって、ルディ・ゴベアのディフェンス能力とそれら変化との因果関係を決定づけるものではありません。オン/オフで見られる一定の変化の要因として、同プレイヤーのディフェンス能力が第一に候補になるかとは思いますが、それ以外にも別プレイヤーのディフェンス能力が要因である可能性や、対戦プレイヤーのシュート成功率の悪さなどが要因である可能性も残ります。今回示すオン/オフコートの各グラフについては、ルディ・ゴベアのディフェンス能力を探るための数ある判断材料の中の一つであることをご留意ください。

ルディ・ゴベアのオン/オフコートで見る対戦チームのシュート分布

 次に、ルディ・ゴベアのオン/オフコートに関して、それぞれの場合の対戦チームのシュート分布を下記に示します。上図はオフコート、下図はオンコートのシュート分布となっています。分布図の見方はこちらをご確認ください。

※横軸にシュート距離(単位:フィート)、縦軸にシュート頻度をとっている。分布図内ではリング回りのシュートは薄紫色、ミドルレンジのシュートは紫色、3Pシュートは赤色でそれぞれ示されている。

 2つのシュート分布について各エリアの分布を比較してみます。ルディ・ゴベアがオフコートの時の対戦チームのリング回りにおけるシュート試投数割合(全試投数に占める当該エリア内のシュート試投数の割合)は33%であるのに対して、オンコートの時の同割合は27%となっており、6%の減少が見られます。一方、この減少のしわ寄せを受ける形でミドルレンジにおける同割合は32%→36%に増加し、3Pエリアにおける同割合は35%→37%に増加しています。オン/オフで見られるこれらの変動については、同プレイヤーが与える対戦チームのシュート分布への影響との解釈もできそうです。

 なお、ミドルレンジと3Pエリア(ルディ・ゴベアの守備の主なテリトリーではない)においては、同割合の増加だけでなくシュート成功率の上昇も見られます。具体的には、ミドルレンジにおける対戦チームの同成功率は、ルディ・ゴベアのオフコートとオンコートの変化で39%→41%に上昇し、同様に3Pエリアにおいても同成功率が34%→36%へと上昇していることが分かります。

ルディ・ゴベアのオン/オフコートで見る対戦チームのスコアリング期待値

 最後に、ルディ・ゴベアのオン/オフコートに関して、それぞれの場合の対戦チームのシュート距離に応じたスコアリング期待値を下記に示します。

 上記のグラフでは、横軸にシュート距離(Shot distance)、縦軸にフィールドショットのスコアリング期待値(Expected points)をとっています。グラフ内の赤い実線は、ルディ・ゴベアがオフコートの時の対戦チームのスコアリング期待値の推移を表し、紫色の実線は同プレイヤーがオンコートの時の同期待値の推移を表しています。

 2つのスコアリング期待値の推移を比較してみます。シュート距離が比較的近い範囲(0~約9フィート)に関しては、ルディ・ゴベアがオンコートの時のほうが対戦チームのスコアリング期待値が低いことが分かります。先に挙げたシュートチャートのところでは、オンコート時のリング回りのシュート成功率の低下(66%→60%)という点に触れており、オン/オフの比較で見られる同期待値の減少という変化は、この点に関して整合性のとれた内容であると思われます。

 一方で、シュート距離が比較的遠い範囲(約9フィート~約33フィート)に関しては、同プレイヤーがオンコートの時に同期待値が高くなっていることが分かります。先に挙げたシュート分布のところでは、オンコート時のミドルレンジと3Pエリアのシュート成功率の上昇(ミドルレンジは39%→41%、3Pエリアは34%→36%)という点に触れており、オン/オフの比較で見られる同期待値の増加という変化は、この点に関しても整合性のとれた内容であると考えられます。

※参考<統計ソフトRに入力するコマンド>

シュートチャートシュート分布スコアリング期待値を扱った各記事もありますので、よろしければご参考ください。

library(BasketballAnalyzeR)
library(gridExtra)
library(dplyr)
Pbox2324 <- read.csv(file="Pbox_2324.csv")
DPbox2324 <- read.csv(file="DPbox_2324.csv")
dts.PbP.2324 <- read.csv(file="PbP_2324.csv")
PbP2324 <- PbPmanipulation(dts.PbP.2324)

# Scatter plot of NBA players
data2324 <- merge(Pbox2324, DPbox2324, by="Player")
attach(data2324)
Ddata2324 <- data.frame(Player, POSITION, DFGA/MIN, DFGp, DREB/MIN, BLK/MIN)
detach(data2324)
Ddata2324 <- subset(Ddata2324, data2324$MIN>=1800)
mypal <- colorRampPalette(c("blue","red","green","orange","black"))
Ddata2324 <- mutate(Ddata2324, Position = recode(POSITION, "C" = "5", "C-F" = "4", "F-C" = "4", "F" = "3", "G-F" = "2", "F-G" = "2", "G" = "1"))
scatterplot(Ddata2324, data.var=c("DREB.MIN","BLK.MIN"), z.var="Position", labels=Ddata2324$Player, palette=mypal, title="Scatter plot of NBA players: DREB and BLK per MIN < NBA 2023 – 2024 Regular Season>")
scatterplot(Ddata2324, data.var=c("DFGA.MIN","DFGp"), z.var="Position", labels=Ddata2324$Player, palette=mypal, title="Scatter plot of NBA players: DFGA per MIN and DFGp < NBA 2023 – 2024 Regular Season>") 


# Shot chart of MIN’s opponents
PbP2324.MIN <- subset(PbP2324, data_set!="NBA 2024 Play-in" & data_set!="NBA 2024 Playoffs" & oppTeam=="MIN")
cols <- paste0(c("a","h"), rep(1:5, each=2))
PbP2324.MIN.RG0 <- PbP2324.MIN[!apply(PbP2324.MIN[,cols], 1, "%in%", x="Rudy Gobert"),]
PbP2324.MIN.RG0$xx <- PbP2324.MIN.RG0$original_x/-10
PbP2324.MIN.RG0$yy <- PbP2324.MIN.RG0$original_y/10-41.75
shotchart(data=PbP2324.MIN.RG0, x="xx", y="yy", z="playlength", num.sect=5, type="sectors", scatter=FALSE, result="result")

PbP2324.MIN.RG1 <- PbP2324.MIN[apply(PbP2324.MIN[,cols], 1, "%in%", x="Rudy Gobert"),]
PbP2324.MIN.RG1$xx <- PbP2324.MIN.RG1$original_x/-10
PbP2324.MIN.RG1$yy <- PbP2324.MIN.RG1$original_y/10-41.75
shotchart(data=PbP2324.MIN.RG1, x="xx", y="yy", z="playlength", num.sect=5, type="sectors", scatter=FALSE, result="result")

# Density estimation of field shots of MIN's opponents
data2324.teamMIN <- subset(PbP2324, data_set!="NBA 2024 Play-in" & data_set!="NBA 2024 Playoffs" & oppTeam=="MIN" & result!="")
cols <- paste0(c("a","h"), rep(1:5, each=2))
data2324.teamMIN.RG0 <- data2324.teamMIN[!apply(data2324.teamMIN[,cols], 1, "%in%", x="Rudy Gobert"),]
sel1 <- densityplot(data=data2324.teamMIN.RG0, shot.type="field", var="shot_distance", best.score=FALSE, title="Density estimation of field shots of MIN's opponents based on Rudy Gobert off the court, with respect to shot distance (NBA 2023 - 2024 Regular Season)")
data2324.teamMIN.RG1 <- data2324.teamMIN[apply(data2324.teamMIN[,cols], 1, "%in%", x="Rudy Gobert"),]
sel2 <- densityplot(data=data2324.teamMIN.RG1, shot.type="field", var="shot_distance", best.score=FALSE, title="Density estimation of field shots of MIN's opponents based on Rudy Gobert on the court, with respect to shot distance (NBA 2023 - 2024 Regular Season)")
grid.arrange(sel1, sel2, nrow=2)

# Expected points of MIN's opponents
data2324RG0 <- mutate(data2324.teamMIN.RG0, player = "Rudy Gobert off the court")
data2324RG1 <- mutate(data2324.teamMIN.RG1, player = "Rudy Gobert on the court")
data2324RG01 <- bind_rows(data2324RG0, data2324RG1)
pl <- c("Rudy Gobert off the court","Rudy Gobert on the court")
mypal2 <- colorRampPalette(c("red","blue"))
expectedpts(data2324RG01, players=pl, col.team="transparent", palette=mypal2, col.hline="transparent", var="shot_distance", xlab="Shot distance", title="Expected points of MIN's opponents based on Rudy Gobert on/off the court, with respect to shot distance (NBA 2023 - 2024 Regular Season)")

それでは、今回のトラッシュトークは以上です。

※データ分析を実践する際に参考にしている書籍『Basketball Data Science: With Applications in R』の紹介記事はこちらからご確認ください。

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