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【NBA2022-23レギュラーシーズンのスタッツを算出しよう】Possessions、PACE、Offensive/Defensive Ratings、Four Factorsとは

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今回は、前回の記事で作成したデータファイル(Tbox、Obox)を使って、統計ソフトRによるNBA2022-23レギュラーシーズンのPossessions、PACE、Offensive/Defensive Ratings、Four Factorsの算出方法を紹介していきたいと思います。

実際に算出する前に、まずはこれらのスタッツの概要を簡単に見ていきます。

※データ分析を実践する際に参考にしている書籍『Basketball Data Science: With Applications in R』の紹介記事も書きましたので、よろしければご確認ください。

Possessions、PACE、Offensive/Defensive Ratings、Four Factorsの概要

Possessions(POSS)

Possessions(POSS)は、ざっくり言えば攻撃権の回数(オフェンスを行った回数)を表しており、以下の式で算出されます。

      POSS = (P2A + P3A) + 0.44 × FTA – OREB + TOV

※ 上記はかなり簡素化された算式であり、NBAstufferウェブサイトのPossessionの項目を参照すると、下記の厳密な算式が紹介されています。

Basic Possession Formula=0.96*[(Field Goal Attempts)+(Turnovers)+0.44*(Free Throw Attempts)-(Offensive Rebounds)]
More Specific Possession Formula=0.5*((Field Goal Attempts + 0.4*Free Throw Attempts – 1.07*(Offensive Rebounds/(Offensive Rebounds + Opponent Defensive Rebounds))*(Field Goal Attempts – FG) + Turnovers) + (Opponent Field Goal Attempts + 0.4*(Opponent Free Throw Attempts) – 1.07*(Opponent Offensive Rebounds)/(Opponent Offensive Rebounds + Defensive Rebounds))*(Opponent Field Goal Attempts – Opponent FG) + Opponent Turnovers))

NBAstufferウェブサイト|https://www.nbastuffer.com/analytics101/possession/

上記の式は、チームの攻撃権回数が下記の要素で構成されるものとしています。

  • フィールドゴール試投数(P2A + P3A)
  • 攻撃権の切り替えが生じるフリースロー概算数(フリースロー試投数(FTA)に0.44を乗じた数値で推測)
  • ターンオーバー数(TOV)
  • オフェンスリバウンド数(OREB)※マイナス項目

なお、オフェンスリバウンド後の攻撃は新規の攻撃権の発生としてはカウントされず、既存の攻撃権が継続していると扱われます。そのためOREBはマイナスの項目となっています。

PACE

PACEは試合のペース(展開の速さ、テンポの早さ)を表しており、以下の式で算出されます。

         PACE = 5 × POSS / MIN

MINは試合時間を表していますので、PACEは試合時間あたりのPOSSの回数と解釈できそうです。

Offensive Rating (ORtg) / Defensive Rating (DRtg)

Offensive Rating (ORtg)は、オフェンスの際に獲得した得点に関して、その効率性を評価する指標であり、以下の式で算出されます。

         ORtg = PTST / POSST

※添え字の”T”はチームのPTS、POSSであることを表しています。

上記の式を見れば、ORtgは1回のPOSSあたりに獲得した得点を表しているので、ORtgの数値が高(低)ければオフェンスの効率性が高(低)いと解釈できそうです。

また、Defensive Rating (DRtg)は、ディフェンスの際に対戦チームに許した得点に関して、その効率性を評価する指標であり、以下の式で算出されます。

         DRtg = PTSO / POSSO

※添え字の”O”は対戦チームのPTS、POSSであることを表しています。

上記の式を見れば、DRtgは対戦チームが1回のPOSSあたりに獲得した得点を表しているので、DRtgの数値が低(高)ければディフェンスの効率性が高(低)いと解釈できそうです。

Four Factors (FF)

続いて、Four Factors (FF)と呼ばれている4つの指標について見ていきます。

各指標の算式を下記の表にまとめました。オフェンス側とディフェンス側の2つの側面で指標を捉えることになります。

  • ①Effective Field Goal Percentage (eFG%) : 2Pシュートに対して3Pシュートに1.5倍の付加価値を設定し、算出したフィールドゴール成功率。名目のFG% (FGM / FGA)に対して、3Pシュートの価値が考慮されたフィールドゴール成功率となる。
  • ②Turnovers per possessions (TO Ratio) : POSSに占めるターンオーバー数の割合
  • ③Rebounding percentages (REB%) : 総リバウンド数に占める獲得したリバウンド数の割合
  • ④Free Throw Rate (FT Rate) : フィールドゴール試投数に占めるフリースロー成功数の割合

以上、NBA公式ウェブサイトやNBAstufferウェブサイトなどを参考の上、Possessions、Pace、Offensive/Defensive Ratings、Four Factorsの概要を説明していきました。

NBA2022-23レギュラーシーズンのPOSS、PACE、ORtg、DRtg、FFの算出

続いて、統計ソフトRのパッケージBasketballAnalyzeRを用いてPOSS、PACE、ORtg、DRtg、FFの算出を行っていきます。

まずは下記のようにパッケージBasketballAnalyzeRを読み込み、外部データファイルのTboxとOboxをデータセットに読み込みます。(2022–23シーズンであることがわかるようにデータセット名の末尾に”2223”とつけています。)

> library(BasketballAnalyzeR)
> Tbox2223 <- read.csv(file="Tbox_2223.csv")
> Obox2223 <- read.csv(file="Obox_2223.csv")

次に、データセットのTbox2223およびObox2223をベースに関数fourfactorsで算出したPOSS、PACE、ORtg、DRtg、FFをfourfactors2223に格納します。

> fourfactors2223 <- fourfactors(Tbox2223, Obox2223)

fourfactors2223を出力すると、下記のようにPOSS、PACE、ORtg、DRtg、FFが出力されます。

各項目の内容は下記のとおりです。

  • POSS. Off : チームの攻撃権回数
  • POSS. Def : チームの守備回数(対戦チームの攻撃権回数)
  • PACE. Off : 1MINあたりのチームの攻撃権回数
  • PACE. Def : 1MINあたりのチームの守備回数(1MINあたりの対戦チームの攻撃権回数)
  • ORtg : 100 POSS. Offあたりのチームの獲得点数
  • DRtg : 100 POSS. Defあたりのチームの失点数
  • F1. Off : チームのeFG%
  • F2. Off : チームのTO Ratio
  • F3. Off : チームのオフェンスリバウンドに関するREB%
  • F4. Off : チームのFT Rate
  • F1. Def : 対戦チームのeFG%
  • F2. Def : 対戦チームのTO Ratio
  • F3. Def : チームのディフェンスリバウンドに関するREB%
  • F4. Def : 対戦チームのFT Rate

特定のスタッツについて降順または昇順で並べ替えをして、各チームの並びを確認したい場合もあるかと思います。

order関数を使用して、例えばORtgに関して下記のように降順で並び替えをしてみます。

> sort1 <- order(fourfactors2223$ORtg, decreasing=TRUE)
> fourfactors2223[sort1,]

並べ替えの結果、ORtgが最も高いのはサクラメント・キングスの116.99であり、次にボストン・セルティックスの115.75、フィラデルフィア・76ersの115.48が続くことがわかります。

さらに、F2. Offに関して下記のように昇順で並び替えをしてみます。

> sort2 <- order(fourfactors2223$F2.Off, decreasing=FALSE)
> fourfactors2223[sort2,]

並べ替えの結果、チームのTO Ratioが最も低いのはトロント・ラプターズの11.59%、次にダラス・マーベリックスの12.23%、アトランタ・ホークスの12.43%が続くことがわかります。

次回記事では、今回算出したスタッツを利用して散布図(プロット)を出力し、スタッツ間の関係を見ていきたいと思います。

なお、本記事は、記事の最後に紹介している書籍を参考にして作成しています。

それでは、今回のトラッシュトークは以上です。

【参考書籍】

Paola Zuccolotto and Marica Manisera (2020), Basketball Data Science – with Applications in R. Chapman and Hall/CRC. ISBN 9781138600799.
※本書籍の紹介記事を書いていますので、よろしければご参考ください。

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