今回は、タイリース・ハリバートンのアシストを扱った過去記事と同様の手法を使って、2024/4/11時点において平均アシスト数でリーグ3位となっているニコラ・ヨキッチのアシストに焦点をあてていきたいと思います。
データに関して、Pbox(過去記事参照)はNBA公式ウェブサイトから収集したデータをベースに作成し、PbP. BDB(過去記事参照)はBigDataBallウェブサイトにて購入したものをベースにしています。
なお、PbP. BDBは2024/4/9時点のPlay By Playデータを用いて作成しており、分析は統計ソフトRにより実行しています。
それでは、2024/4/9時点におけるナゲッツのアシストネットワークのグラフから示していきます。
※データ分析を実践する際に参考にしている書籍『Basketball Data Science: With Applications in R』の紹介記事も書いていますので、よろしければご確認ください。
ニコラ・ヨキッチのアシストの特徴<NBA2023-24レギュラー・シーズン ※2024/4/9時点>
2024/4/9時点における2023-24シーズンのナゲッツのアシストネットワークは、下記に示す通りです。
なお、グラフ内に示されている項目やグラフの見方は以下をご参照ください。
- ノード(Node:プレイヤー名とともに円形で表示されているもの)の色は、そのプレイヤーのフィールドゴールによる獲得点数(以下、FGPTS)を表しており、FGPTSが多ければ赤色、FGPTSが少なければ薄紫色を示します。
- ノードの大きさは、そのプレイヤーがチームメイトへアシストすることで生み出した獲得点数(以下、ASTPTS)を表します。ASTPTSが多ければノードのサイズが大きくなり、ASTPTSが少なければノードのサイズは小さくなります。
- 各プレイヤーはエッジ(Edge)と呼ばれる矢印でそれぞれ結ばれており、エッジの起点となるプレイヤーはアシストを出した側、エッジの終点となるプレイヤーはアシストを受けた側であることを表しています。エッジの色はアシスト数と対応しており、アシスト数が多ければ赤色、アシスト数が少なければ薄紫色を示します。(※下記グラフではネットワークの状況を見やすくするために、アシスト数20以下となるエッジの表記を省略しています。)
上記のグラフを確認すると、ナゲッツのアシストネットワークは主にニコラ・ヨキッチ、マイケル・ポーターJr.、K.コールドウェル・ポープ、ジャマール・マレー、アーロン・ゴードン、レジー・ジャクソンの6人で構成されていることが分かります。
グラフ内のエッジに注目すると、チームの中でニコラ・ヨキッチがアシスト供給の中心となっていることが読み取れ、同選手からはマイケル・ポーターJr.へのアシストが最も多く、続いてアーロン・ゴードン、K.コールドウェル・ポープ、ジャマール・マレーへのアシストが比較的多く出されています。
また、ニコラ・ヨキッチに関してはアシストを供給するだけではなく、アシストを受ける側でもあることが分かります。(※この点は過去記事で確認したタイリース・ハリバートンとの相違点となっています。)
特に、ジャマール・マレーからニコラ・ヨキッチへのアシストが多く、その他のプレイヤーからはレジー・ジャクソンとK.コールドウェル・ポープからのアシストを比較的多く受けていることが読み取れます。
さらに、ノードに注目すると、ニコラ・ヨキッチのFGPTSとASTPTSはともに高い水準を示しており、同選手はチームの獲得点数という観点からも重要な役割を担っていることが分かります。
なお、上記グラフの作成に使われた実際のスタッツは以下に示すとおりであり、次は具体的なスタッツを交えながらアシストの傾向を確認していきたいと思います。(※Play-by-Playデータから集計されたスタッツであるため、NBA公式で公表されているスタッツと差異があります。あくまでも目安の数値としてご参考ください。)
上記のスタッツにつきアシスト数(AST)に注目すると、ニコラ・ヨキッチ(下から4番目)の684本がチーム内で最多となっており、以降はジャマール・マレーの370本、レジー・ジャクソンの301本が続いていきます。
続いて、ASTPTSに注目すると、ニコラ・ヨキッチが供給したアシスト684本を起点に1608点のASTPTSが生み出されており、この点数は自身で直接的に獲得した得点であるFGPTSの1660点と近い水準であることが分かります。
ナゲッツがチーム全体で獲得したFGPTSのトータルは7860点であるのに対して、ニコラ・ヨキッチが直接的に獲得したFGPTS は1660点であることから、同選手はチーム全体のFGPTSのうち、約21.1%に相当する得点を獲得したことになります。
これに加えてさらに、ニコラ・ヨキッチが自身のアシストにより間接的に生み出した1608点は、チーム全体で獲得したFGPTSの約20.4%を占めていることから、チーム全体のFGPTSの約41.5%(21.1%+20.4%)は、同選手が直接的および間接的に生み出したFGPTSで構成されていると読み取ることも可能です。
なお、この構成割合に関して、ニコラ・ヨキッチに次ぐ数値はジャマール・マレーの約23.7%※1ですが、これら割合の比較からも、オフェンス面におけるニコラ・ヨキッチの圧倒的な存在感を見て取ることが出来ます。
[※1(マレーのFGPTS 1023点 + マレーのASTPTS 845点)/ チーム全体のFGPTS 7860点=約23.7%]
最後に上記のアシスト数(AST)に関して、主力の6プレイヤー(ニコラ・ヨキッチ、マイケル・ポーターJr.、K.コールドウェル・ポープ、ジャマール・マレー、アーロン・ゴードン、レジー・ジャクソン)に限定しますが、プレイヤー間のアシストのやり取りが分かるようにクロス集計表を下記に示します。
上記のクロス集計表を確認すると、トータルで684本のアシストを供給したニコラ・ヨキッチのその内訳は、約21.9%に相当する150本のアシストをマイケル・ポーターJr.へ、約17.6%に相当する121本のアシストをアーロン・ゴードンへ、約15.4%に相当する106本のアシストをK.コールドウェル・ポープへ、約15%に相当する103本のアシストをジャマール・マレーへそれぞれ出していることが分かります。
マイケル・ポーターJr.に対するアシストの割合(約21.9%)が最も大きくなってはいますが、他の3プレイヤーに対しても15%程度の割合でアシストを出していることから、比較的バランス良くチームメイトへアシストをしているプレイヤーであるとの印象を受けます。(※この点に関して、過去記事で確認したタイリース・ハリバートンの場合は総アシストの約27.5%をマイルズ・ターナーへ、次点で約12.6%をアーロン・ネスミスへ出しています。)
なお、ニコラ・ヨキッチはジャマール・マレーから141本のアシストを受けており、前述のアシストネットワークのグラフでも確認できた通り、実際の数値で見ても両プレイヤー間でかなり活発にアシストのやり取りが行われていることが分かります。
なお、上記のグラフを出力するための統計ソフトRのコマンドは、後述を参照ください。
※参考<統計ソフトRに入力するコマンド>
※アシストのネットワーク分析に関しては、3つの過去記事(①、②、③)でも扱っていますので、よろしければご参考ください。
> library(BasketballAnalyzeR)
> Pbox2324 <- read.csv(file="Pbox_20240411.csv")
> dts.PbP.2324 <- read.csv(file="PbP. BDB_2324.csv")
> PbP2324 <- PbPmanipulation(dts.PbP.2324)
> PbP2324.DEN <- subset(PbP2324, team=="DEN")
> PbP2324.den <- PbP2324.DEN[!(PbP2324.DEN$event_type=="shot" & PbP2324.DEN$result=="missed"),]
> netdataden <- assistnet(PbP2324.den)
> plot(netdataden, layout="circle", edge.thr=20, node.col="FGPTS", node.size="ASTPTS")
> TABden <- netdataden$assistTable
> Xden <- netdataden$nodeStats
> names(Xden)[1] <- "Player"
> dataden <- merge(Xden, Pbox2324, by="Player")
> selden <- which(dataden$Player=="Nikola Jokic" | dataden$Player=="Michael Porter Jr." | dataden$Player=="Kentavious Caldwell-Pope" | dataden$Player=="Aaron Gordon" | dataden$Player=="Jamal Murray" | dataden$Player=="Reggie Jackson")
> tabden <- TABden[selden, selden]
それでは、今回のトラッシュトークは以上です。
※データ分析を実践する際に参考にしている書籍『Basketball Data Science: With Applications in R』の紹介記事はこちらからご確認ください。