NBA2023-24シーズンより導入されたインシーズン・トーナメントに関して、ノックアウト・ラウンドに進出する8チームが決定し、その準々決勝が下記の日程で行われる。
- 12月5日(火)
午前9時30分開始:ボストン・セルティックス対インディアナ・ペイサーズ
午後12時開始:ニューオーリンズ・ペリカンズ対サクラメント・キングス - 12月6日(水)
午前9時30分開始:ニューヨーク・ニックス対ミルウォーキー・バックス
午後12時開始:フェニックス・サンズ対ロサンゼルス・レイカーズ
そこで今回は、ノックアウト・ラウンドに進出した8チームについて、7つのスタッツ、レーティング、eFG%を用いて各チームの特徴を確認していく。
まずは、2023年12月4日時点のデータをベースに3つのチャートを作成し、その後ノックアウト・ラウンドに進出した8チームの特徴をまとめる。
なお、データに関しては全てNBA公式ウェブサイトから入手している。(入手および作成方法に関しては過去記事参照)
※データ分析を実践する際に参考にしている書籍『Basketball Data Science: With Applications in R』の紹介記事も書きましたので、よろしければご確認ください。
ノックアウト・ラウンド進出チームに関する各種チャート<NBA2023インシーズン・トーナメント>
7スタッツにおけるレーダーチャート、レーティングの散布図、eFG%の散布図の順に示していく。
ノックアウト・ラウンド進出チームの7スタッツにおけるレーダーチャート<NBA2023-24レギュラーシーズン>※2023年12月4日時点
- P2M : 2Pシュート成功数
- P3M : 3Pシュート成功数
- FTM : フリースロー成功数
- REB:オフェンスリバウンドとディフェンスリバウンドの合計数
- AST : アシスト数
- STL : スティール数
- BLK : ブロック数
※上記のチャートを出力するための統計ソフトRのコマンドは後述を参照
レーティングの散布図<NBA2023-24レギュラーシーズン>※2023年12月4日時点
※上記のチャートを出力するための統計ソフトRのコマンドは後述を参照
eFG%の散布図<NBA2023-24レギュラーシーズン>※2023年12月4日時点
※上記のチャートを出力するための統計ソフトRのコマンドは後述を参照
ノックアウト・ラウンドに進出した各チームの特徴<NBA2023インシーズン・トーナメント>
ボストン・セルティックス 対 インディアナ・ペイサーズ
ボストン・セルティックス
レーダーチャートを確認すると、ボストン・セルティックスは、3Pシュートとリバウンドに強みを持つチームであることがわかる。
チーム内の3Pシュートとリバウンドはともにジェイソン・テイタムが牽引しており、ノックアウト・ラウンドにおいてもその活躍が期待される。
また、セルティックスの強みは安定したディフェンスにもあり、ディフェンスレーティングはノックアウト・ラウンド進出チームの中でもトップの水準である。
さらに、被eFG%も好成績を残しており、対戦チームのフィールドゴールの成功率の低さからも、セルティックスのディフェンス能力の高さがうかがえる。
インディアナ・ペイサーズ
セルティックスに対するは、タイリース・ハリバートンを中心に高いオフェンス能力を見せているインディアナ・ペイサーズ。
レーダーチャートを確認すると、リバウンドとフリースローは平均以下の水準となっているが、それ以外のスタッツでは全体的に高い水準に達しており、チームの好調さがうかがえる。
ペイサーズのオフェンスレーティングは全30チーム中でトップであるが、その一方でディフェンスレーティングのほうは全30チーム中で最低クラスのため、ムラのあるチームであるとも考えられる。
なお、eFG%についても全30チーム中でトップであることから、オフェンス能力はノックアウト・ラウンド進出チームの中では最も高いことは間違いなさそうである。
ニューオーリンズ・ペリカンズ 対 サクラメント・キングス
ニューオーリンズ・ペリカンズ
ニューオーリンズ・ペリカンズのレーダーチャートを確認すると、3Pシュートとブロックを除く各スタッツで、平均以上の水準を満たしていることがわかる。
eFG%は平均をやや下回るが、オフェンスレーティング、ディフェンスレーティング、被eFG%はともに平均並みかそれ以上の水準を残していることからも、攻守ともに堅実なチーム像が浮かび上がる。
ノックアウト・ラウンドでは、得点でチームを牽引するザイオン・ウイリアムソンとブランドン・イングラム、リバウンドとブロックでチームを牽引するヨナス・バランチュナスに注目したい。
サクラメント・キングス
昨シーズンのような圧倒的なオフェンス能力の高さには現段階で達していないが、それでも底力を見せてノックアウト・ラウンド進出を決めたサクラメントン・キングス。
レーダーチャートを確認すると、ペリカンズに対しては3P シュートにアドバンテージを有していることから、3Pシュート成功数で好成績を残しているディアロン・フォックス、ケビン・ハーター、マリーク・モンクらの活躍に注目したい。
オフェンスレーティングとeFG%は平均水準を上回っている一方で、ディフェンスレーティングと被eFG%のほうは平均水準を下回っているため、ディフェンス面でやや不安が残るチームと思われる。
ニューヨーク・ニックス 対 ミルウォーキー・バックス
ニューヨーク・ニックス
レーダーチャートにおいては、2Pシュート、アシスト、ブロックの成績の低さが目立つが、それでもここまで堅調なディフェンスを見せているのがニューヨーク・ニックスである。
ニックスのディフェンスレーティングは、ノックアウト・ラウンド進出チームの中ではセルティックスに次いで2番目に良い成績であり、このことからも今シーズンのディフェンスの堅調さをうかがうことが出来る。
その一方で、eFG%に関してはその低さが目立ち、ノックアウト・ラウンド進出チームの中では最も低い水準に位置していることから、得点とアシストでチームを牽引するジェイレン・ブランソンとジュリアス・ランドルへの期待が高まる。
ミルウォーキー・バックス
ミルウォーキー・バックスのレーダーチャートを確認すると、7スタッツの全てで平均並みかそれ以上の水準を示しており、そのバランスの良さから今シーズンも安定したチームの強さを読み取ることが出来る。
今シーズンはオフェンスレーティング、eFG%、被eFG%において平均以上の水準を残していることからも、安定感のある強さがうかがえるが、ディフェンスレーティングは平均以下の水準となっているため、ディフェンス効率の点で若干の不安が残る。
堅調なディフェンスを見せるニックスに対して、得点とアシストでバックスを牽引するヤニス・アデトクンボとデイミアン・リラードのプレーに注目したい。
フェニックス・サンズ 対 ロサンゼルス・レイカーズ
フェニックス・サンズ
フェニックス・サンズのレーダーチャートを確認すると、今シーズンはフリースローとブロックで好成績を残しており、特にブロックに関してはユスフ・ヌルキッチ、ケビン・デュラント、ドリュー・ユーバンクスの3プレイヤーが牽引している。
被eFG%に関しては、ノックアウト・ラウンド進出チームの中ではセルティックスに次いで2番目に良い成績となっており、この点においてチームの堅実なディフェンスをうかがうことが出来る。
オフェンスレーティング、ディフェンスレーティング、eFG%、被eFG%の全てで平均以上の水準を満たしていることから、ノックアウト・ラウンド進出チームの中でも総合的な戦力は上位に属するチームと考えられる。
ロサンゼルス・レイカーズ
ロサンゼルス・レイカーズのレーダーチャートを確認すると、3Pシュート成功数の低さが目立つが、それ以外のスタッツでは平均並かそれ以上の水準を満たしていることがわかる。
オフェンスレーティングとディフェンスレーティングはともに平均以下の水準となっている一方で、eFG%と被eFG%のほうは平均以上の水準となっていることから、ゲームごとにその印象が変わるチームであるとも言える。
インシーズン・トーナメントに関しては、グループリーグを4勝で勝ち抜いて勢いもあり、チームを牽引するレブロン・ジェームズ、アンソニー・デイビスらの勝負強さに注目したい。
なお、この試合に関してはレイカーズに所属する八村塁と、サンズに所属する渡邊雄太による日本人対決の実現にも注目が集まる。
※参考<統計ソフトRに入力するコマンド>
ノックアウト・ラウンド進出チームの7スタッツにおけるレーダーチャート
> library(BasketballAnalyzeR) #パッケージBasketballAnalyzeRの読み込み
> Tbox2324 <- read.csv(file="Tbox_20231204KR.csv") #Tboxの読み込み
> attach(Tbox2324) #attach()でTbox2324を指定
> T <- data.frame(P2M,P3M, FTM, REB=OREB+DREB, AST, STL, BLK)/MIN #各スタッツのMINあたりの数値をdata.frame()でまとめてTに格納
> detach(Tbox2324) #detach()でTbox2324を指定から外す
> radialprofile(data=T, title=Tbox2324$Team, std=TRUE) #レーダーチャートを出力するコマンドでありstd=TRUEで標準化
> listplots <- radialprofile(data=T, title=Tbox2324$Team, std=TRUE) #上記のコマンドをlistplotsに格納
> library(gridExtra) #パッケージgridExtraの読み込み
> grid.arrange(grobs=listplots[grep("<KR>", Tbox2324$Team)], ncol=4) #チーム名に<KR>を含むチームをgrid.arrange()で出力
なお、レーダーチャートの作成に関しては過去記事で扱っている。(下記の過去記事参照)
レーティングの散布図
> Tbox2324 <- read.csv(file="Tbox_20231204.csv") # Tboxの読み込み
> Obox2324 <- read.csv(file="Obox_20231204.csv") # Oboxの読み込み
> IST2324 <- read.csv(file="IST_2324.csv") #ノックアウトラウンド進出の有無を集計したファイルの読み込み
> fourfactors2324 <- fourfactors(Tbox2324, Obox2324) #fourfactors()でPACE、ORtg、Four Factorsを算出しfourfactors2324へ格納
> KnockoutRounds <- IST2324$KnockoutRounds #ノックアウトラウンド進出の情報を抽出しKnockoutRoundsへ格納
> fourfactors2324KR <- data.frame(fourfactors2324, KnockoutRounds) #data.frame()によりデータをまとめてfourfactors2324KRへ格納
> ggplot(data=fourfactors2324KR, aes(x=ORtg, y=DRtg, color = KnockoutRounds, label=Team))+
+ geom_point() +
+ ggrepel::geom_text_repel(aes(label = Team))+
+ geom_vline(xintercept =mean(fourfactors2324KR$ORtg))+
+ geom_hline(yintercept =mean(fourfactors2324KR$DRtg))+
+ labs(title = "ORtg and DRtg (20231204)")+
+ labs(x = "Offensive Rating of the Team (ORtg)") +
+ labs(y = "Offensive Rating of the Opponents (DRtg)")
なお、レーティングの散布図の作成に関しては過去記事で扱っている。(下記の過去記事参照)
eFG%の散布図
> ggplot(data=fourfactors2324KR, aes(x=F1.Off, y=F1.Def, color = KnockoutRounds, label=Team)) +
+ geom_point() +
+ ggrepel::geom_text_repel(aes(label = Team))+
+ geom_vline(xintercept =mean(fourfactors2324KR$F1.Off))+
+ geom_hline(yintercept =mean(fourfactors2324KR$F1.Def))+
+ labs(title = "Factor 1:eFG% (20231204)")+
+ labs(x = "eFG% (Offense)") +
+ labs(y = "eFG% (Defense)")
なお、eFG%の散布図の作成に関しては過去記事で扱っている。(下記の過去記事参照)
それでは、今回のトラッシュトークは以上です。
※データ分析を実践する際に参考にしている書籍『Basketball Data Science: With Applications in R』の紹介記事はこちらからご確認ください。